実家の片付け・80代後半の父親の片付け

年老いた親の住む実家の片付けは、親孝行。

でも、親はそうは思わないので、中々進まず、苦労されている方も多いようです。

親が元気なら、視点を変えれば、生きているうちに親の人生を聴ける良いチャンスです。

ここでは、私が80代の父親の片付けを通して気づいたことをお伝えします。

 

 

 

 

【手順】

①親とコミュニケーションを取る

片付けに着手する前にまず、親の信頼を得る必要があります。
親は、自分が死ぬまで子どもよりえらいと思っているので、子どもの指図なんか受けたくないというのが本音。
ですから、まず、「片付けをやってみようかな」という気にさせるためにあの手この手を使ってみましたが、結局、親から「ちょっと手伝ってくれるか?」と声をかけてくれる関係になることが大切だと気づきました。

心理学の「ザイアンス効果」をご存じですか?
「ザイアンス効果」とは、「単純接触効果」とも呼ばれていて、「何度も繰り返して接触することにより、好感度や評価等が高まっていく」というもの。
親とコミュニケーションを取る機会を増やして、親の「理解者」になることが実家の片付けの近道と悟りました。
片付けの話はひとまず横に置いておいて、雑談しましょう。
一見ムダな時間のようですが、親のペースや価値観を知る上でも必要な時間です。

②捨てるのが苦手なシニア層。「安全」を最優先に考える

実家の片付けで最優先したいのは、「安全」。
シニア層の事故は、おおかた、家庭内で起ります。
躓くことで骨折をし、それが原因で寝たきりになる例も多いですから、「動線確保」と「床に直置きしないこと」は、必須です。

シニア層は、モノのない時代を体験している人が多いので、使わないモノでも「まだ使えそうなもの」を処分することに大きな抵抗があります。

ですから、「捨てる・減らす」は最終手段とし、まずは、「使っているモノ」「使っていないモノ」を分けることから始めて、「使っていないモノ」をできるだけ生活動線から遠ざけることを考えます。
「使っていないモノ」は、別の部屋に持って行く、部屋の隅に集めるなど、捨てずに片付ける方法が片付けを進ませるためにも有効なようです。

私の父親の場合は、新聞の切り抜きがどれも大事だと主張していたので、捨てるのではなく、集めて横によけることを提案しています。
(本人が自分で決めると言っているので、任せています)

③片付いた空間の維持

よく耳にするのが、「せっかく片付けたのに久しぶりに実家に行ったら、また元通りになっていた」という話。がっかりしますよね。
片付けはダイエットと似ていて、急激にモノを減らしても、そもそもの生活の仕方が変わらなければ、リバウンド(元通りのモノの量)する可能性は高いです。
その上、シニア層は、急激な環境の変化が苦手なので、無意識で元の環境に戻そうとしてしまうのかもしれません。

ですから、短時間で一気に片付けたい気持ちは横に置いておき、小さな片付けを繰り返すことで親の片付けスキルのレベルを無理なく上げていきましょう。
ハードルを下げることで、親が片付けることに抵抗が減り、自分でも続けて行ける状態になるのが理想です。
初めから終わりまで、ずっと横についてやるのではなく、折りを見てサポートする方がお互いに無理なくできそうです。
実家の片付けは長期戦でやっていきましょう。

「自分でやるから放っておいてくれ」と言っていた父親もある日、「古いパソコンを捨てるから、一緒に店に行ってくれるか?」と、言ってきました。ここまで、来るのに半年以上。まだまだ、片付けは父親ペースで続きます。

 

 

【ポイント】

親を思う気持ちが強すぎると片付けが苦行になってしまいます。

ちょっとずつ、自信と片付いたところの気持ちよさを味わってもらいながらがいいですね。

サポートする子どもが明るい気持ちで片付けることも大切です。

 

 

【アドバイス】

実家の片付けは、視点を変えれば、残り時間が少なくなった親との時間の共有です。

親は自分の根っこですから、その親を理解することは、自分を理解することにも繋がります。

生きているからできることですから、けんかするのではなく、

親を理解するつもりでぜひ、楽しみながら、やっていただきたいと思います。

 

プロフィール情報

安田 智子(まるとハウス)

 

HP:https://www.marutohouse.com/

ブログ:https://ameblo.jp/interior-colorr